中古マンションリノベーション事例|3LDK+土間でインダストリアル×ホテルライクを実現

RoomClip magに、我が家を取り上げていただきました(記事はこちら)。
名古屋の中古マンションを購入し、フルリノベーションした3LDK+土間の住まいです。 コンセプトは「インダストリアル×ホテルライク」。 自分が作った空間を第三者の視点で取り上げてもらえることで、判断を客観的に振り返る機会になりました。 この記事はそのタイミングで改めて整理した記録です。
この記事は「素敵な家の紹介」ではなく、「判断の記録」として書いています。 なぜ中古マンション+リノベを選んだのか。 どういうコンセプト・間取りにしたのか。 何を大事にして何を諦めたのか。 このブログのスタンスである「中立・実務目線」で、迷った点やトレードオフも含めて整理します。
土間やバーカウンターなど各空間の詳細は、暮らしカテゴリの別記事で順次扱っていきます。
この家の概要
物件と仕様
- 種別:中古マンション(フルリノベーション)
- 間取り:3LDK+土間(元は4LDK)
- コンセプト:インダストリアル×ホテルライク
- テーマカラー:ブラック基調
フルリノベーションで間取りを一から設計し直しています。元は4LDKで、玄関近くの1部屋を土間に転用して現在の間取りになりました。
大事にしたこと・諦めたこと
大事にしたこと:
- ブラックによる色の統一:インダストリアルとホテルライクという2要素を同居させるために、「黒」を共通言語にした
- 土間とバーカウンター:アウトドア好き・お酒好きというライフスタイルを空間に反映させた
- 照明計画:シーリングライトをなくし、ダウンライト・ペンダントライト・間接照明でホテルライクな空気感を作った
諦めたこと:
- 仕上げ材のメリハリ:全室にこだわりの仕上げ材を使いたかったが、予算の都合で優先順位をつけた
- 土間の仕上げ素材:モールテックスやモルタルで仕上げたかったが、構造上の制約でコストが膨らんだため断念した


背景・前提整理
なぜ中古マンション+リノベだったか
出発点は、コンクリートむき出しの無機質な空間に住みたい、という気持ちでした。
最初はデザイナーズ賃貸や新築マンションを探していました。ただ、希望に近い物件は数が少なく、あっても賃料や価格が手の届く水準ではありませんでした。それならいっそ、中古マンションを買って自分でリノベーションしようという発想に切り替えました。
参考事例は主にPinterestとInstagramで探していました。海外のインテリア事例を見ていると、インダストリアルとホテルライクを組み合わせた事例が多くありました。その組み合わせに惹かれ、コンセプトが固まっていきました。
なぜ新築ではなく中古マンションを選んでリノベをしたかについては、別記事で整理しています。
考え方中古マンションのリノベーションを選ぶ3つの理由
なぜ新築ではなく中古マンションを選んでリノベをしたのか。価値の下がりにくさ・立地の選びやすさ・管理状態の分かりやすさという3つの理由を実体験から整理します。
なぜこの物件だったか
立地・広さ・管理状態のほか、角部屋ならではの明るさも選定の決め手になりました。
この物件を選んだ理由のひとつは、間取りの可変性が高かったことです。 元は4LDKで、玄関近くに独立した部屋がある構造でした。 「ここを潰せば土間にできる」という判断が、購入の後押しになりました。
物件選びの詳細については、物件内覧時のチェックポイントを別記事で整理しています。物件を検討し始めた段階から読んでおくと判断の参考になります。
物件選び中古マンション内覧チェックリスト|リノベ前提で「見るべき所だけ」分かる保存版
中古マンションを購入し、リノベして住む人向けの内覧チェックポイントをまとめました。内覧だけでは、すべてを把握することはできません。「その場でしか分からない違和感」を見逃さないことが重要です。
前提となるライフスタイル
- 独身、30代、名古屋在住
- リモートワーク中心の働き方
- 趣味はキャンプ・登山・お酒
記事を読む際の参考にしてください。どういう人物が、どういう前提のもとでこの家を作ったのかを示しておくことで、「自分のケースに当てはめられるか」を判断しやすくなると思っています。
独身でリモートワーク中心という前提が、間取りや設備の選択に大きく影響しています。
この家を作った3つの判断
コンセプト:インダストリアル×ホテルライクをどう同居させたか
2要素のラベルと、振り返ってのズレ
「インダストリアル×ホテルライク」というコンセプトを掲げていますが、完成した家がそのラベル通りかというと、正直なところ微妙です。
蓋を開けてみると、ホテルライク寄りに着地した部分も多い。 インダストリアルの無機質さより、照明計画やディテールへのこだわりに引っ張られた部分があります。
ただ、間違いなく言えることがあります。「ブラック基調の家」になった、という点です。
ベースをブラックに統一しました。 家具も家電も内装も、基本はブラック系で揃えています。 一方、照明器具や吊戸棚の金属部分は、ステンレスや真鍮の素地をそのまま活かしました。
ブラックを基調にすると、インダストリアルな金属の質感もホテルライクな空気感も、どちらも馴染みやすい。 色が共通言語になり、2つのコンセプトの間で空間が破綻しなかった、という感覚です。
素材の選び方
床は、リアルな質感を最優先に選んだ塩ビタイルを採用しました。
壁と天井は、ブラック・グレー系の斑のあるクロスを基本に、寝室の全面とリビングの一面はポーターズペイントで自分でDIY塗装しています。
バーカウンターとトイレの照明器具には、真鍮製のものを選んでいます。吊戸棚は吊り部分にスチールを使い、棚板には木材を組み合わせました。
リビングのディスプレイボードは、モールテックスで自作しています。3m近いサイズで、本物の石を切り出したような質感があります。バーカウンターと洗面は、リアルな木の質感を持つメラミン化粧板で造作しました。

色とトーン
全体のメインカラーはブラックです。家具もブラック系で統一しています。
寝室だけ例外で、グレージュ系の塗装にしました。落ち着いて眠れる空間にしたかったため、他の部屋より穏やかなトーンにしています。バスルームは暗めの雰囲気で、浴槽もブラックです。オーバーヘッドシャワーを取り付け、ホテルライクな空気感を出しています。

照明
この家にシーリングライトは1つもありません。
ダウンライトを基本とし、バーカウンター・トイレ・土間にはペンダントライトを使っています。土間のペンダントライトはノルマントンを選び、アウトドア基地らしいヴィンテージ感を出しています。各部屋にはライティングレールを設置し、スポットライトの向きを調整できるようにしました。間接照明も多用しています。
ホテルライクな印象は、素材よりも照明計画から生まれています。照明を変えるだけで、同じ空間がまったく異なる空気感になることを、この家で実感しました。

間取り:3LDK+土間という選択
4LDKを潰して土間にした
元の物件は4LDKでした。玄関近くの1部屋を潰して土間にし、3LDKに変更しています。
独身であれば部屋数を減らして機能を再配分する方が、空間を使い切れると考えました。4部屋を曖昧に使うより、3部屋+土間という構成の方がライフスタイルと合っていると判断しました。
土間を作った理由
キャンプや登山から帰宅したとき、汚れたままの道具をそのまま置けるゾーンが欲しかった。これが一番の動機です。
それだけでなく、家にいながらキャンプ気分を味わえる空間にしたかったという気持ちもありました。アウトドア用品をかっこよく収納・展示できる場所を作りたかった、ということでもあります。
土間の現在の使い方
土足ゾーン兼キャンプ道具置き場として機能しています。普段はキャンプ用のダイニングテーブルとチェアを設置していて、ソロ用テントなら設営できる広さがあります。アイアンハンガーを使えば、帰宅後すぐに寝袋やテントを干せます。
訪れた人が「かっこいい」「良い」と言ってくれるポイントでもあります。住み始めてからも、土間を作った選択に迷いはありません。

各部屋の役割
- 寝室:グレージュ系の塗装で穏やかなトーン
- ウォークインクローゼット:名目はクローゼットですが、実質は倉庫部屋として使用しています
- ワークスペース:ガラス張りの仕事部屋。リモートワーク中心の働き方に対応させています
- その他:トイレ・洗面室・バスルーム・リビング・オープンキッチン・パントリー
バーカウンター
独身なのでダイニングは不要と判断し、代わりにバーカウンターを設置しました。
お酒が好きで、自分のペースで好きな酒を楽しめる空間を作りたかった。
キッチンで料理してカウンター越しに振る舞うイメージでいましたが、実際にお客さんを招く機会はまだそれほど多くないのが正直なところです。 ただ、毎日の一人の時間に使う場所として、この選択は合っていると感じています。
独身者が空間の使い方を考えるとき、「ダイニング→バーカウンター」という置き換えは合理的だったと思っています。


割り切った点・トレードオフ
予算で諦めたこと
造作家具を全室に入れたかったのですが、必要な箇所に絞りました。仕上げ材も、こだわりの強いゾーンにコストを集中させ、優先順位の低いところは抑える形にしました。
「全部にこだわる」のではなく、「どこに集中させるか」を選んだ結果です。
構造で諦めたこと
土間は本来、モールテックスやモルタルで仕上げたかったところです。ただ、構造上の問題がありました。
この物件は、土間以外の床の高さが土間より低い構造でした。全体を床上げするには大きなコストがかかるため、断念しました。物件が持つ構造に合わせて判断し直した結果です。
注意点・失敗しやすいポイント
メディア映えと住みやすさは一致しないことがある
冒頭でRoomClip magに掲載された話をしておいて少し矛盾するようですが、「写真映えする家」と「住みやすい家」は必ずしも同じではありません。
写真映えを優先して進めると、収納不足・動線の崩壊・掃除負荷の増加につながることがあります。逆に住みやすさを最優先にすると、コンセプトが弱くなることもある。
我が家は両方を諦めない方向で調整を繰り返しましたが、設計の過程で何度も「写真映え」と「住みやすさ」の間で判断を迫られました。
判断の軸は、「自分が家でどう過ごしたいか」でした。 来客が多いか、家で仕事をするか、趣味の時間が長いかによって、バランスの取り方は変わります。
コンセプトを欲張ると破綻する
我が家も最初は、コンセプトの要素をもう少し多く入れようとしていました。途中で「これ以上増やすと空間の中で要素が喧嘩する」と気づき、削りました。
素材・色・照明・家具のすべてを整合させるのは、2要素でも難しい。3つ以上になると、統合がさらに困難になります。
判断軸として機能したのは、「ベースに置く要素を1つに決め、残りをアクセントに回す」というやり方でした。 我が家の場合、「ブラック」という色が共通言語として機能しています。
コンセプトをラベルで管理するより、色やテクスチャという具体的な共通項を決める方が、実際の選択の場面では使いやすいと感じています。
中古マンションでリノベの自由度が制約される
中古マンションは戸建てとは違い、構造的・規約的な制約があります。知らずに進めると、途中で「やりたかったことができない」と気づく場面が出てきます。
代表的な制約は以下の通りです。
- 管理規約(床材の遮音等級、水回りの位置変更の可否)
- 構造(壁式構造では抜けない壁がある)
- 配管(床下スペースによる移動範囲の制限)
- 電気容量(古いマンションでは契約アンペアが低い場合がある)
これらは物件契約前に確認しておく必要があります。中古マンションのリノベーション制約については別記事で整理しています。物件を検討し始めた段階から読んでおくと判断の参考になります。
設計・施工中古マンションにおけるリノベーションの制約とは?
リノベーションなら何でもできるわけではありません。中古マンションのリノベーションにおける建物上・管理規約上の制約と、失敗しないためのポイントを整理します。
まとめ
この家は「正解」ではなく「私の判断の結果」
この記事で伝えたかったのは、「こういう家にすると良い」という話ではありません。
独身・リモートワーク中心・アウトドアとお酒が好き・名古屋在住という私の前提のもと、 予算や構造の制約と折り合いをつけながら積み重ねた判断の結果が、この家です。
前提が違えば、最適な判断も変わります。 中古マンションリノベを検討している方には、まず「自分の前提では何が大事か」を整理することから始めてほしいと思います。 我が家の判断は、その参考材料の一つとして使ってください。
このブログでは、各空間の詳細、住んでみてわかったこと、判断の裏側を今後の記事で書いていきます。
もっと見たい方へ
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